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2006年5月16日 (火)

「津軽鉄道の少年」 ――交通博物館閉館によせて その2

  私の出会った“まめはかせ”のお話をもうひとつ。

閉館を知り最初に行った2月25日は、何十年かぶり?の交通博物館でしたので、ゆっくりと全館を見て回りました。

4階にある、新幹線の食堂車を再現した食堂「こだま」で昼食もとりました。

   交通博物館の4階は、1~3階までの展示中心のフロアとはちょっと異なった趣のところです。屋内の設備としては食堂と図書室、そして廊下の突き当たりのドアから外へ出れば、屋上としてのスペースになっています。

また食堂と図書室の間の長い通路はちょっとした休憩所となっており、テーブルとイス、ベンチ、列車の座席などがおかれています。

列車の座席はあの、向かい合わせのボックスの、背部と座部が紺でただ単純に直角の、そう!あのタイプです。いい感じです。座ってみたいなあ~と思っても、空いたと思うとすぐに埋まってしまいます。なかなかの人気です。

ここまで「…です。」「…ます。」とお話ししてまいりましたが、今となってはもう「…でした。」「…ました。」とすべきなのですね。この4階の雰囲気については、ぜひF氏のブログのこちらの記事をご覧下さい。

  さて、その座席の一つに、津軽鉄道のビデオが見られるようになっているボックスがありました。

  津軽鉄道といえば、仕事仲間のN氏のブログの昨年8月17日の記事でも紹介されていた、味わい深き鉄道。それを思い出し、通路を先に進もうとする家族をひきとめ、通路に立ったままビデオに見入っておりました。

ビデオの画面の横には路線図が貼ってありました。画面とその図を見比べながら、

 「これはどの駅のあたりなのかしら…」

と、家族に話しかけたつもりが、ふと横を見るといません。どうやら彼らは夢中になっている私をおいて、とりあえず先に行ってしまったようです。

 「これは、かなぎ駅です。」

答えてくれたのは、画面に近い席に腰掛けていたひとりの男の子でした。

 「あ…、そ、そうですか!ありがとうございます。」

かなぎ…かなぎ…と、慌てて図中でさがしていると、男の子は「ここです。」と図の中のその駅を指し示してくれました。なるほど、「金木」か。ちょうど路線の真ん中あたりに位置していました。

男の子にお礼を言ってからも、しばらく見ていましたが、静かなビデオで特に解説らしきものが聞こえてきません。そこでふと、きわめて単純な疑問がわいてきました。

 「あのう…さきほどの駅がその『金木駅』だというのはどうしてわかったんですか?」

 「駅に人がいたからです。」

 「…人、ですか?(乗降客かな?)」

 「津軽鉄道では有人の駅は、起点の津軽五所川原と、終点の津軽中里と、中間の金木の3つしかありません。そのほかは無人駅です。金木では…」

男の子はこちらに少し顔を向けて、丁寧に説明をしてくれました。照れやさんなのか、最初目をまっすぐ合わせようとはしてくれなかったのですが、お話の進むうちに次第にちらちらと目が合うようになりました。

 「金木では、○○や△△も行われます。…」

○○や△△は、車掌の交代、とか何かの交換とか、そういったことだったと思うのですが、私は彼の知識の豊富なことに心打たれて、説明自体は実はちゃんと聞けていなかったかもしれません。

小学校高学年…もしかしたら中学生…。足元にリュック、膝の上には1冊の時刻表。ページは丸まり、ずいぶんと手になじんだ感じのものでした。お話は熱心で、とても優しかったです。

ビデオの終わりまで観ていたかったのですが、先に進んでいった家族も気になり、途中であきらめ男の子にお礼を言って、その場を離れました。

   

  私以外の家族は、その日から閉館までの間、ずいぶんと足繁く通っていましたが、5月14日閉館の日、私にはまたちょっと久しぶりの交通博物館でした。

4階のボックスにも行ってみましたが、さすがに座席はいっぱい。あの男の子の姿はそこには見つけられませんでした。

 「あの子いないなあ…。」

とぽつりとつぶやいたところ、その日は隣りでそれを聞きつけた家族、すぐに誰のことかわかったようでした。

 「あの男の子なら、あれから何度か見かけたよ。いつもここにいた。」

   

 今頃どうしているかな、なんて考えます。

もう一度会いたかったなあと思います。

    

 

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