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2005年8月25日 (木)

♪VACATION ――修善寺温泉 菊屋

  修善寺に行こうという確かな予定はなかったのですが、道路の案内板で「修善寺温泉」などという文字を見てしまったら、ほうってはおけません。ちょっと寄り道~。
  修善寺といえば、思い出すのはかの夏目漱石の「修善寺の大患」。作品名ではありません。1910年夏、漱石は持病の胃潰瘍の転地療養先であったこの修善寺で倒れ、一時は人事不省にまで陥りました。その出来事を指すことばです。
  滞在していた旅館はこちら、菊屋。
2005
宮様や乃木大将も宿泊なさったという、由緒正しき旅館らしい風格をたたえていました。
  予約客でもないのにさっそく一人で中にとびこんで、お話を伺ってきました。
この9月から来春にかけてリニューアルの工事をなさるそうですが、さすがに玄関の構えや漱石の泊まった「梅の間」には手をつけないそうです。よかった~。
玄関の中の写真を撮っていいかと尋ねれば、きっといいとおっしゃっていただけたとは思いますが、厳粛さと静寂にうたれていたのか、そうは言い出せない気持ちでした。
  
  玄関のしつらえや、古い柱、そして奥へと続く長い廊下には、歴史を感じました。
漱石の夫人、夏目鏡子さんの述懐を思い出します。漱石の容態が悪いという電報を受け取り、鏡子夫人が東京からかけた電話には、なんと漱石本人が電話口に出たそうですが…。
  
  「床についている病人を、あの菊屋の長い廊下の、しかも上がったり下がったりの一道中を、帳場まで呼び出したのかと思うとぞっといたします。」(「漱石の思い出」より)
  
  それから何日かの後、「修善寺へ急行せよ」との電報が来て、夫人がかけつけ、そのまた何日か後には大きな吐血をし、危篤状態に…。それが1910年8月24日のことでした。
  死線をさまよい、その後の漱石の人生観や文学観に大きな影響を与えたともいわれている「修善寺の大患」――この場所での、今から95年前のできごとです。
     
  余談ながら、「漱石の思い出」は、漱石が世を去った後、鏡子夫人が語ったお二人の出会いからのことを、娘婿で漱石の弟子でもあった松岡譲が記したものです。文庫本にもなっていますので、よろしかったら一度お手にとられてみてください。
さきほど、「東京からかけた電話」などと書きましたが、実は当時漱石の自宅には電話がまだなく、ご近所のお宅の電話を借りてかけています。
また、「急行せよ」と知らされ駆けつける際に、夫人が子どもをどこに預けてとんでいったかなども克明に記されています。
漱石の讃える女性へのやきもちも時には見え隠れ…??
  あくまでも夫人からの視点で語られたことではありますが、作品からはわからない、漱石の生活のにおいがして興味深いですよ (^-^)
  

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